昨年2016年のAES SHOWにて、突如情報が公開されたAvid社の「Pro Tools | MTRX(プロ ツールス マトリクス)」。
情報が公開されてから、実際のリリースまでには時間がかかりましたが、今年2017年の9月末に、国内での販売が開始になりました。
Pro Tools | MTRXは様々なカスタマイズができ、使用用途に応じてモジュールを自由に組み合わせることができるのが特徴です。しかしながら、自由度が高いが故に、どんな使い方ができるかは、使う方次第とも言えます。
このPro Tools | MTRXについて、「どんな仕様なのか」、「どんなことができるのか」をわかりやすく、数回に分けてレビューを掲載します。
このレビュー Vol.0では、Pro Tools | MTRXでなにができるか、おさらいします。
>>Pro Tools | MTRXの関連リンク
Avid社の紹介ページ:http://www.avid.com/ja/products/pro-tools-mtrx
サポートページ:http://avid.force.com/pkb/articles/ja/faq/Pro-Tools-MTRX-Support
価格情報の公開ページ(Avid Zone Pro):http://m-avidzonepro.jugem.jp/?eid=123
Avid社の国内リリース情報:http://www.avidblogs.com/ja/pro-tools-mtrx-available/
Pro Tools | MTRXの簡易レビュー記事(AES SHOW レポート):http://mp-review.jugem.jp/?eid=331
>>Pro Tools | MTRXの紹介動画
>>Pro Tools | MTRXの特徴
ここでまず、Pro Tools | MTRXについて簡単に説明します。
Pro Tools | MTRXは、Pro Tools | HDX 及びHD Nativeと組み合わせることができる、パワフルな64chオーディオインターフェイスです。
DADの優れた音質を誇るAD/DAを搭載し、モジュール形式で必要な端子/チャンネルを選択可能です。AD/DAだけでなく、AES3、MADI、Danteを扱えます。ルーティングも非常に自由にアサイン可能です。
プライベートスタジオにも、業務レコーディングスタジオでも、ライブレコーディングでも有用なコンバーターと言えます。
・S6, S3及びその他のEuConサーフェイスと使用することで、より充実したモニター・コントロールや柔軟なルーティング機能を実現可能
・高性能な64チャンネルPro Tools | HD インターフェイスとして使用可能です。
・アナログ48 ch、デジタル64 ch、あるいはニーズに合わせてその間の構成に自由にインターフェースをカスタマイズ
・マイク・プリ、Dante、MADI、AES3、3GSDIを含む幅広いI/Oから選択可能
・DADmanソフトウェアおよびPro | Mon 2による柔軟なルーティングとモニタリング・コントロール
・モノ/ステレオから64チャンネルのオーディオ出力まで、複数のオーディオ・フォーマットで作業可能
・8 x 8チャンネルのカード・スロットを使って必要に応じたカスタマイズが可能です。
・ワードクロック, AES11, ビデオ 及び全てのデジタルI/Oを通して、他のシステム機器との同期が行なえます。
・入力時の自動サンプルレイト・コンバージョンが行なえます。
※AD/DAカード、MADI, Dante, 及びSDI I/O カードは別売
>>Pro Tools | MTRXは、Base Unitに対して、必要なモジュールを付け足してカスタム可能
Pro Tools | MTRXは、Base Unitという2Uのラックがフレームになっています。
そのフレームに対して、8chADカードや8chDAカード、DanteやMADI、AES3などをモジュールとして追加していきます。
ADやDAについては、6つまでモジュールを追加できます。ADやDAは48chまで扱えます。
なお、ADについては、Line inだけでなく、マイクプリアンプ対応のADカードも用意されています。
つまり、マイクプリ対応のADカードを6枚組み合わせてしまえば、8ch x 6 = 48chマイクプリアンプがこの2Uに収まってしまいます!
※ADカードのラインナップ:8ch ラインAD、2chマイク/ラインAD、8chマイク/ラインAD
※DAカードのラインナップ:8ch DA
>>Pro Tools | MTRXなら、AD/DAだけでなく、Digilink、MADI、Danteの信号を双方向に取り扱える
これらの機能が、1台で収まってしまうということは、非常に画期的なことです。
なぜなら、これらの機能をPro Tools | MTRXで行うとすると、たくさんのハードウェアが必要ですし、接続や設定も非常に複雑になります。
Pro Tools HDXとPro Tools | MRTXをDigilink miniケーブルで接続するだけでなく、MADIやDanteも一緒に扱えるため、例えば「ライブレコーディング」や「大規模なレコーディング」にも対応します。
Pro Tools | MTRXを操作するリモコン・ソフトウェア/パッチベイであるdadmanや、Pro Tools | MTRXの接続を例にします。
このように、ADに入ってきたアナログ信号を、Pro Tools HDXに送ったり、同時にDanteやMADIにも送ることができます。自由なルーティングが可能なのです。
※この画像はDAD AX32になっていますが、これがPro Tools | MTRXに相当します
このように、アナログ信号と、イーサネットによるDante接続と、AES3とMADI、Digilinkなど様々な接続のハブとしてPro Tools | MTRXが機能します。
個人的においしいなと思うのは、Danteも扱えることです。これにより、メインのレコーダーであるHDXのシステムとは別に、サブシステムとしてDante経由でレコーディングをしたり、Dante対応のヘッドフォンアンプをキューボックスとして使用できたり(Danteなので、イーサネットケーブル1本で接続できます)します。
レビューVol.1では、Pro Tools | MTRXのBase Unitに迫ります!
- 2017.10.12 Thursday
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